京都府立図書館基本方針

図書館は、人々が知的で創造的な人生をおくるため、人類の文化遺産となる出版物等を適切に収集・保存し、様々なサービスにより提供する場です。
府立図書館は、この理念を踏まえ、急激な社会変化に対応していくため、歴史と大学のまち京都の立地を活かしながら、府内全域に均質な図書館サービスを提供することにより、府民の調査研究や知的活動の拠点となることを目指します。

Ⅰ 府内全域の図書館等をつなぎ、支援するとともに、協力して図書館サービスを展開します

市町村立図書館・学校図書館等の活動を支援するとともに、各館と協力して、府内の図書館サービスの充実を図ります。また、府民に的確な情報を提供するため、市町村立図書館・学校図書館・大学図書館等をつなぎ、ハブとしての機能を果たします。

Ⅱ 多様な文化資源の情報を取り扱い、幅広い調査研究のニーズに応えます

府立図書館の役割に応じた資料の収集を行うとともに、多様な文化資源に関する情報を取り扱います。また、様々な情報を求める人々が利用しやすい図書館サービスを提供し、幅広い調査研究のニーズや府民の知的好奇心に応えます。

Ⅲ 大学等研究機関や文化施設等と連携するとともに、多様な議論の場を提供することにより、文化の振興と地域の活性化に寄与します

100 年を超える府立図書館の歴史、文化施設が集中する岡崎という立地、大学のまち京都の特性を最大限に活かし、様々な機関と連携して事業展開を図るとともに、多様な議論の場を提供することにより、文化の振興と地域の活性化に寄与します。

令和3年3月30日公表

京都府立図書館サービス計画(令和3年度~令和7年度)

(全文)京都府立図書館サービス計画(PDF)

1 府内の各図書館とのネットワークの充実

府立図書館は、市町村立図書館・大学図書館等と連携し各図書館が所蔵する資料が一括して検索できるとともに、資料の相互貸借及びその資料を運ぶ連絡協力車の運行等を行うK-Libnetを運営・管理しています。
府立図書館では、府民の利便性を図るため、K-Libnetの充実を図るとともに、大学・企業等との共同研究等に取り組みます。

  • 各図書館が所蔵する資料が一括して検索できるとともに、資料の相互貸借を行うことができるK-Libnetシステムの確実な運用を図ります。
  • 大学図書館が所蔵する図書を府立図書館と身近な市町村立図書館で、府立図書館・市町村立図書館が所蔵する図書を大学図書館で、閲覧することができる取組を推進します。
  • K-Libnet参加館等へ資料を運ぶ連絡協力車の効率的な運行を図ります。
  • K-Libnetシステムの利便性の向上を図るため、大学・企業等との共同研究の取組を推進します。
2 市町村立図書館への支援

府立図書館は、府民に身近な市町村立図書館への支援を行うことによって府民サービスの向上を図っています。
府立図書館では、市町村立図書館のリクエストに応じるなど資料の充実を図るとともに、図書館運営に係る情報を積極的に収集し提供することにより、市町村立図書館を支援します。また、市町村立図書館のレファレンス機能充実に向けて、事例の蓄積等を行い、社会や技術の最新の動向を踏まえた研修に取り組みます。

  • 市町村立図書館支援のためのリクエストに応じるなど、資料の充実を図ります。
  • 市町村立図書館のニーズを把握するための会議や巡回訪問を実施します。
  • 風水害や新型コロナウイルス感染症等の経験を踏まえ、非常時における図書館運営に関する情報の共有や提供等を推進します。
  • 市町村立図書館のニーズを踏まえた職員が参加しやすい研修(オンラインを含む)を推進します。
  • K-Libnetシステムを活用し、市町村立図書館のレファレンス機能の充実を図る取組を推進します。
3 学校支援の充実

子どもたちが、生涯にわたり、自ら調べ、課題を解決する力を身につけるためには、早い段階から各種の図書館等を活用して的確に情報を収集する習慣をつけることが大切です。
府立図書館では、児童・生徒の来館型調べ学習や学生の調査研究を積極的に受け入れます。また、学校のニーズに応じた学校支援セットを充実するとともに、総合教育センターと連携した研修を実施するなど、学校図書館運営の支援に取り組みます。

  • 児童、生徒の調べ学習や学生の調査研究を積極的に受け入れます。
  • 調べ学習や読書、図書館の展示等に活用する学校支援セットの充実を図ります。
  • ホームページを活用した学校支援セットの利用促進を図る取組を推進します。
  • 総合教育センターと連携した研修を実施するなど、学校図書館の運営を支援するための取組を推進します。
  • 大学や企業等と連携して、全ての府立学校の蔵書をインターネットを通じて検索し、相互貸借することができる取組を推進します。
4 子ども読書活動の支援

「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平成13 年12 月12 日法律第154号)に、子どもの読書活動を推進することは、地方自治体の責務として明示されています。
府立図書館では、子ども読書の日を記念する事業に引き続き取り組みます。また、児童サービス等に関する情報の収集と発信に努めるとともに、様々な民間団体と連携した取組の充実を図ります。

  • 子ども読書の日(4月23日)を記念する事業に取り組みます。
  • 「こどもの居場所づくり」「子ども食堂」に取り組む団体や「京都府教育委員会認定フリースクール」等の様々な民間団体と連携し、子どもの読書活動に寄与する取組を推進します。
  • 市町村立図書館が実施する児童サービス等に関わる情報の収集と発信に努めます。
5 多様な資料の収集・整理・提供

府立図書館では、収集方針に基づいて、課題解決や調査研究等に役立つ多様な資料を積極的に収集します。
また、限られた開架スペースに、利用頻度や資料構成を考えた配架に取り組みます。

  • 毎年7万点以上の書籍が発刊される中、収集方針に基づいた多様な資料の収集を図ります。
  • ビジネス支援等の課題解決や調査研究に役立つ資料の収集を推進します。
  • 美術館コーナーを設置するなど配架の工夫を進め、限られた開架スペースの活用を図ります。
  • シナリオコレクションなど所蔵している貴重な資料の整備、活用を推進します。
6 十分な収蔵空間の確保による資料の適正な保存

府立図書館は、原則として所蔵資料を永久に保存するという保存センターの役目を担っているため、将来を見越した所蔵資料を収蔵できるスペースを確保することは喫緊の課題となっています。資料の適切な保存や、良好な書庫環境の維持に向けた取組を進めるとともに、市町村立図書館が所蔵する貴重な資料についても連携して保存に努めます。

  • 保存センターの役割を担う図書館として、書庫環境の充実に向けた取組を推進します。
  • 収集した資料の損傷や劣化を防ぐ取組を充実するなど、適切な保存に努めます。
  • 市町村立図書館と連携して府内1冊所蔵図書の的確な把握と保存に取り組みます。
7 各種電子サービス等デジタル環境の整備

急激な社会変化に対応するため、図書館として、各種電子サービス等デジタル環境の整備を進めることは、重要な課題です。
府立図書館では、国立国会図書館の「図書館向けデジタル化資料送信サービス」をはじめ、利便性の高い各種データベースの利用を促進します。また、スマートフォン等情報通信機器の利用者が多いことから、電子書籍の導入やWi-Fi環境の充実を図る取組を推進します。

  • 国立国会図書館「図書館向けデジタル化資料送信サービス」をはじめ、調査研究に役立つデータベースの充実、活用促進を図ります。
  • 電子書籍の導入に向けた取組を推進します。
  • 閲覧室にWi-Fi環境を整備するなど、調査研究に役立つ取組を推進します。
  • テーマ別資料リストや図書リストのオープンデータでの提供等を推進します。
8 所蔵資料紹介・レファレンス業務の充実

府立図書館が取り扱う資料や情報をより一層活用していただくため、多様な本や情報に出会える館内展示を実施します。また、テーマ別資料リストや調べ方案内を充実するとともに、資料や情報を利用者の求めに応じて紹介するレファレンス機能の向上を図ります。また、国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」へ調査成果を積極的に登録し、広く共有します。

  • 多様な図書に出会える企画展示等の実施、テーマ別資料の作成、ホームページを活用した図書の紹介に努めます。
  • 国立国会図書館レファレンス協同データベースを活用したレファレンス業務の充実を図ります。
  • 国立国会図書館等が開催するレファレンス研修に積極的に参加し、知識技能の向上を図ります。
9 来館者へのサービスの充実

府立図書館では、来館者が求める資料や情報を得られるよう、エントランス等に効果的な案内掲示を行うとともに、カウンターサービスのより一層の向上を図ります。また、市町村立図書館と連携して、返却時の利便性の向上を図る取組を推進します。

  • 大学等と連携して、エントランス等における効果的な展示や案内の掲示を推進します。
  • 障害者や外国人等を対象にした図書館案内の充実を図ります。
  • 図書館カードによる館内サービスの利便性の向上を図る取組を推進します。
  • 図書の貸出期間の延長等、情報通信機器を活用したサービスの充実を図る取組を推進します。
  • 京都市図書館との相互返却サービスの取組を推進します。
  • 市町村立図書館と連携して返却サービスの利便性の向上を図る取組を推進します。
10 オンラインサービスの充実

京都府は南北に長く、府立図書館に来館することが難しい府民も多くいます。また、新型コロナウイルス感染症等の非常時においては臨時に休館することもあります。
府立図書館では、このようなことに対応していくため、府立図書館に来館せずに図書館サービスを受けられるサービスの充実に向けた取組を推進します。

  • 電子書籍をスマートフォン等情報通信機器により利用できる取組を推進します。
  • 大学等と連携して、価値ある資料のデジタルアーカイブ化の取組を推進します。
  • 電話やインターネット等によるレファレンスサービスや図書の複写サービスの取組を推進します。
  • インターネット等による府立図書館カードの作成や図書の郵送貸出の取組を推進します。
11 障害者サービス等の充実

府立図書館では、従来から障害者サービス等の充実に取り組んできましたが、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」や「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」に基づき、各種ガイドラインへの適切な対応に努めます。また、印刷物を読むことが困難な人々のために、大活字本やデイジー図書等の充実に努めます。

  • 大活字本やデイジー図書等の充実を図ります。
  • 対面朗読サービスの充実に努めます。
  • サピエ図書館が所蔵する点字図書や録音図書に関する書誌データベース(約70万点)を活用し、視覚障害者等を支援する取組を推進します。
  • 国立国会図書館が所蔵する学術文献録音図書DAISYデータや視覚障害者等用データ(音声DAISYデータ、点字データ等)を活用し、視覚障害者等を支援する取組を推進します。
  • 京都ライトハウス情報ステーションや近隣文化施設と連携して、共生社会を目指す取組を推進します。
12 職員の資質・能力の向上

適切な組織・施設運営を行い、資料や情報を利用者と結びつけていくためには職員の資質・能力の向上が大切です。
府立図書館では、文部科学省、国立国会図書館、大学等様々な機関が主催する研修・研究会等へ職員を積極的に派遣し、その成果を図書館サービスの充実に結びつけます。
また、研修の実施に取り組みます。・文部科学省、国立国会図書館、大学等様々な機関が主催する研修・研究会等(オンラインを含む)への積極的な参加に努めます。

  • 大学や市町村立図書館の要請に応じた研修の講師を務めるなどの取組を推進します。
  • 様々な機関と連携したタイムリーな研修を実施します。
13 「知的な交流の場」の活用

府立図書館では、多様な人々が互いに学び合い、対話・議論を行うことができる「知的な交流の場」(以下「ナレッジベース」という。)を設置しています。大学や企業等と連携した展示を行うとともに、NPOや大学のゼミ等、他の機関や団体との連携を推進し、多くの人が集い議論する取組を推進します。

  • 大学や企業等と連携した展示を行うことにより、多様な人が互いに学び合う取組を推進します。
  • ナレッジベースの特長を活かし、NPO等民間団体と協働した取組を推進します。
  • NPO等民間団体が行う企画を府立図書館の資料やデータベースを活用して支援する取組を推進します。
  • 大学と連携し、大学生による「図書館応援チーム(仮称)」が企画・実施する取組を推進します。
14 府立図書館の見える化の推進

府立図書館のサービスを府民が最大限活用するためには、府立図書館の機能や取組を広く周知していく必要があります。
府立図書館では、様々な取組等についてホームページやSNS等で効果的に情報発信していきます。また、各種広報媒体の活用、報道機関への効果的な広報を更に推進するとともに、館内見学会等の取組による情報発信により、府立図書館の「見える化」を推進します。

  • ホームページやSNS等を活用した効果的な情報発信を図ります。
  • 京都府の広報媒体の活用、報道機関への効果的な広報を推進します。
  • 館内見学会の実施や旧館家具等を活用した歴史ある図書館を発信する取組を推進します。
  • 公益財団法人大学コンソーシアム京都と連携し、大学生を対象とした広報を推進します。
  • 利用案内や調べ方案内のオープンデータでの提供を推進します。
15 各種セミナー等の実施

府立図書館では、所蔵している多くの資料や情報に関連した各種講座を開催します。研究者・団体等と連携した講座について、より充実した展開を図るとともに、府立学校等と連携した取組を推進します。

  • 大学等様々な機関と連携した講座やセミナーの開催を推進します。
  • 図書館の持つ機能を生かした講座やセミナーに関連する図書の展示、図書リストの作成等を推進します。
  • 京都府高等学校文化連盟と連携を図り、高校生が前庭等を活用して発表する取組を推進します。
16 大学等研究機関、文化施設等と連携した取組の推進

府立図書館は、だれもが気軽に利用できる施設です。その特徴を活かしながら、岡崎エリア活性化の一環として、近隣文化施設への資料リスト等を積極的に配付するなど知的活動を支援する取組を推進します。また、府内の博物館・美術館・大学等と連携した取組を推進します。

  • 岡崎エリアの文化施設等と連携して、展示や図書リストの作成等に取り組みます。
  • 岡崎エリアの文化施設等と連携して、様々な企画や事業の推進を図ります。
  • 博物館・美術館・大学等と連携し、図書館の資料を活用した取組を推進します。
17 行政機関と連携した取組の推進

行政機関が、課題解決に向けた施策を企画立案するためには、的確で幅広い情報を入手することが必要です。
府立図書館では、行政機関向けにレファレンスサービスや複写サービスを行うとともに、図書の貸出や資料配送の取組を推進します。

  • 京都府議会図書館と連携して、府庁等行政機関の要請に応える図書の貸出等の取組を推進します。
  • 府庁等行政機関からの要請に応じたレファレンスサービスの取組を推進します。
  • 京都府家庭支援総合センター等行政機関との連携を図り、図書の貸出等の取組を推進します。