冷凍(蔵)庫のなかった時代、人々はどのように酷暑をしのいだのでしょう。

  平安時代の王朝文学『枕草子』や『源氏物語』には、貴族たちが氷で涼をとる様子が描かれています。当時、冬に張った天然氷は氷室と呼ばれる施設で貯蔵され、夏に切り出されて宮中へと運ばれました。氷は口にするだけでなく、生鮮食品などの冷蔵にも使用されました。かつて京都市内の山裾に6ヵ所あった氷室から、暑い最中、宮中へ氷を運ぶ作業は大変な苦労があったようです。

  古代の氷室から明治初期に氷ビジネスに成功した中川嘉兵衛まで、さまざまなエピソードが紹介され、「氷」と「人」との関わりを知ることができる一書です。

                                                         <令和2年7月30日掲載>

図書:『氷の文化史 人と氷のふれあいの歴史

田口哲也/著 株式会社冷凍食品新聞社 1994.5   

(請求記号:588.8/TA19/ 資料コード:1105236689)