「本がなければ、何世紀にもわたる人類の知恵が失われてしまう……」(本文より抜粋)

 第二次世界大戦下、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所31号棟には、蔵書8冊だけの秘密の図書館がありました。図書係を任されたのは14歳の少女ディタ。彼女は本の所持が禁止されているなか、服のポケットや地面の穴に本を隠し、守り抜こうと奮闘します。わずかなパンと水、ノミだらけの共用ベッド、垢まみれの靴下……。過酷を極める収容所生活で、なぜ命の危険を冒してまで本を守ったのでしょうか? その答えは、物語の中でディタたちが教えてくれます。

 著者はあとがきで、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所にあった図書館の存在と図書係だった女性が今も健在だと知り、取材を重ねてこの小説を書き上げたと語っています。好きな時に好きな本を読むことのできる幸せ、そして、本の持つ無限の力を感じさせてくれる一冊です。

 

<平成30年7月29日掲載>

 

                                            

    

   『アウシュヴィッツの図書係』

   アントニオ・G・イトゥルベ/著 他 集英社 2016.7

  (請求記号:963/I91 資料コード:1110479191)

 

《関連資料》

『図書館 愛書家の楽園』 アルベルト・マングェル/著 他 白水社 2008.10

 (請求記号:010.2/Ma43 資料コード:1108489632)