こんな本、入りました。No.087 『教養の近代測地学』

私たちの生活には“地図”が欠かせません。スマートフォンの地図アプリを重宝される方も多いのではないでしょうか。本書は、この“地図”制作に不可欠な「測地学」に携わった近代ヨーロッパと日本の人々を、豊富な写真と逸話とともに描きます。

 著者の研究テーマは高名な詩人“ゲーテ”です。ゲーテは東部ドイツで官僚を務めたそうです。土木や地理・地学に通じ、論文を執筆するほど自然科学に造詣の深かった彼はまた、地図のコレクターでもありました。

 ゲーテを通じて測地・測量の世界に踏み込んだ著者が語る「測地学」を巡るエピソード――地図と戦争の切っても切れぬ関係や、岩手・水沢の緯度観測所設立の苦労――を読み進めると、地図一枚がとても重く奥深い作品に思えてきます。

 地図帳と一緒に本書を読まれてはいかがでしょうか。

         <令和3年2月15日掲載>

石原あえか/著 法政大学出版局 2020.11

(請求記号:448.9/I74  資料コード:1111077291)

★こんな本もあります。

科学する詩人ゲーテ

石原 あえか/著 慶應義塾大学出版会 2010.4

(請求記号:940.268/G56/ 資料コード:1108632306)

近代測量史への旅

石原 あえか/著 法政大学出版局 2015.9

(請求記号:512.02/I74/ 資料コード:1110451083)