こんな本、入りました No.051『欠落ある写本 デデ・コルクトの失われた書』
「デデ・コルクトの書」とは、トルコ系民族に関する十二話をひとつの書物にまとめた英雄物語集です。
16世紀に書き写された写本がヴァティカンとドイツのドレスデンの図書館で発見された2冊のみ存在し、イスタンブルにある諸図書館の膨大な蔵書のなかでは発見されていないという史実に加え、読み解かれるべき複雑なストーリーも潜んでいます。
本書は、「デデ・コルクトの書」を素材にした歴史心理推理小説です。
主人公は、何者かが国立写本研究所に置き去りにした写本を読み、これが「デデ・コルクトの書」を創造する準備資料として書き留められた覚え書きと証言らしきものであることを発見します。そして「デデ・コルクトの書」で伝えたかったことは何か、を推理していきます。
邦訳されている「デデ・コルクトの書」を読んでから本書を読むと、楽しみが深まる1冊です。
<平成30年1月14日掲載>
『欠落ある写本』
カマル・アブドゥッラ/著 水声社 2017.10
(請求記号:929.573 /A11 資料コード:1110865175)