No.15 教科書のおはなし -小学校編-

みなさんは、「教科書」と聞くと、一体、どんなイメージをお持ちになるでしょうか?  ある方は、学生時代を思い出し、しばしノスタルジックな気分に浸られるかもしれませんし、また、ある方は、もう二度と思い出したくない辛い過去が甦るかもしれません。

さて、当館では、所蔵している教科書資料をより多くの方に使っていただくため、コンピュータ目録(OPAC)での検索ができるように整理を進めてきましたが、このたび、小学校分約6700冊についての整理が終了いたしました。
そこで、今回は、当館の教科書資料についてお話ししたいと思います。

まず、教科書には、以下のようないくつかの特徴があります。

  1. 一度、検定を受けた教科書は、数年に渡って使用されること(同じ教科書でも、出版年が違うものが存在する)。
  2. 書名教科名が入っていないことや、学習指導要領の改訂によって、書名(教科名)が変化する場合があること。
  3. 上・中・下巻など、複数冊(巻)に分かれているものが多いこと(特に、小学校)。
  4. 「教科」「学年」「出版者(社)」「検定年」など、どの要素を優先するかによって、配列分類が大きく変わってしまうこと。

そのため当館では、整理にあたってこれらの点を考慮した教科書整理マニュアルを整備し、目録データを作成しました。目録データの見方については、「教科書目録案内」のページをご覧下さい。

では、次に、当館のweb-OPACを使った教科書の検索方法をご紹介します。

たとえば、ご自身が小学1年生だった時の国語の教科書をお探しの場合、小学1年生の国語の教科書には、「国語科-小学-1年」という件名が与えられていますので、まず、「キーワード」に「国語科-小学-1年」と入力してください。
続いて、「出版年」に、ご自身が1年生だった年と、その5年くらい前の年を併せて入力してください(「1980年」なら「1975~1980」)。これは、上記の「1」にあるように、教科書は同じものが数年に渡って使用されるため、ご自身がお使いになっていた年が、データに記載されている出版年とは限らないからです。これで、お探しの教科書がかなり限定できると思いますが、もし、「出版者」をご記憶であれば、さらに絞込みが容易になります。
教科書の場合、上記の「2」の特徴から、書名に教科名を入れただけでは、うまく検索できないこともありますので、件名を用いて捜すことをお奨めします。なお、他の教科や学年に与えられている件名については、「教科書目録案内」「「件名・分類」一覧」でご確認ください。

さて、こうして検索した資料の「資料詳細」画面を見ると、「所蔵」がたくさんついている場合があります。これは、上記の「3」にあるとおり、教科書は複数冊に分かれているものが多いので、それらを一緒に使っていただくため、まとめて表示しているのです。
その時は、同じく「資料詳細」画面の「巻次」を見てください。「1年生上~下」「5年上・下」といった表記なら、複数冊がまとめられていますので、併せて「ページ数」をご確認いただき、「全○冊」となっていれば、複数冊のすべての巻が揃っています(それ以外の表記では、欠落している巻があります)。

今回の整理にあたって不思議だったのは、実際に使っていたのは数十年以上も昔のことであり、さらに、何千冊という同じようなものに紛れているにもかかわらず、自分が使っていた教科書は、表紙ひと目見ただけで、すぐに分かったことです。
一方、肝心な内容の方には、ほとんど記憶がありませんでした(これは、不思議なことではないかもしれません)。
とにかく、自分が使っていた教科書というのは、やはり、特別なものだと思います。ぜひ、みなさんもお手にとって、ご覧ください。

なお、教科書資料は、すべて館内利用(貸出不可)となっています。
ご不便をおかけしますが、図書館の中で、ひとときの「タイム・スリップ」をお楽しみください。(t)

 

 

 

 

 

参考文献
資料名 請求記号 資料コード
『教科書目録』
文部省編  文部省
/375.9/MO31
ほか
 1102952163
ほか
『教科書検定総覧』小学校篇
永芳 弘武共編  小宮山書店   1968
/375.9/Ky4  1105428534
『近代日本の教科書のあゆみ 明治期から現代まで』
滋賀大学附属図書館編著  サンライズ出版  2006
/375.9/Sh27  1107193169