映画「ティファニーで朝食を」(1961年アメリカ)の中で、登場人物の作家ポールが、オードリー・ヘップバーン演ずるヒロインのホリーを図書館に連れて行き、カード目録から自分の著作を検索して彼女に誇らしげに見せるシーンがあります。
さしずめ今なら、パソコンの前でキーボードを叩き……ということになるでしょうか?

現在の図書館では、もっぱら、コンピュータを使った目録で蔵書を検索することが一般的になりつつあります。これらの検索用の端末を、以前にこのコラムでもお話ししたとおり、通称「OPAC」(オーパック:Online Public Access Catalog:オンライン閲覧目録)といいます(→第4回参照)。 
利用者のみなさんから見ると、コンピュータを使った目録は、同時に何人も利用できますし、曖昧な言葉や、いろいろな要素を掛け合わせた検索ができるなど、カード目録にはなかった利点があります。また、手軽に印刷したり、リストを作成できるのも見逃せない利点です。

職員側から見ると、コンピュータ目録は、カード目録を維持管理する時にはかなり煩雑だった新しい情報の追加や修正、並べ替えが容易にできるため、常に利用者のみなさんに最新の状態の目録を提供できるというメリットがあります。
さらに、カード目録のように物理的なカタチを持たないため、複製や流通が非常に容易だという特徴もあります。

この点を生かし、大学図書館などでは、ひとつのデータベース内にある目録データを多くの館で共有し、お互いの目録作業の重複を防ぎ、労力の削減と、目録提供の迅速化を図るという「共同(協同)目録作業」(cooperative cataloging)が行われています。
一方、代表的な機関が目録データを作成し(「集中目録作業」(centralized cataloging))、その目録データの配布を受けて利用する方法もあります。その際、目録データの活用をより円滑にするために、データの構造やデータの格納方法などがあらかじめ決められています。
このような、一定の規格に基づいて作成されている本のデータを「機械可読目録」、通称「MARC」 (マーク:Machine Readable Catalog(Cataloging):)といい、そのような事前の取り決めを「MARCフォーマット」と呼んでいます。

MARCにはいくつかの種類があり、我が国では、国立国会図書館が作成している「JAPAN/MARC」が代表的なMARCです。また、本の取次会社が作成・販売しているMARC(「民間MARC」や「市販MARC」と呼ばれます)もよく使われています。たいていの公共図書館では、だいたいこれらのいずれかのMARCを使っていますが、必要に応じて、自館でデータを作成することもあります。

さらに、近年ではインターネットの発達で、データの流通がより活発に、よりグローバルになってきています。
図書館でも、インターネットを通じて利用できるOPAC、通称「web-OPAC」(ウェブ・オーパック)を提供する館が非常に増えてきています(→当館のweb-OPAC)。このため、図書館の蔵書を検索するのは、遠隔地からも、さらには図書館の開館時間以外でも可能になりました。

かくして現代のポールは、自分の書いた本の目録データを見せるために、わざわざ図書館に行く必要がなくなった訳です。
しかし、実際の本を見ていただくためには、当時も今も、図書館に足を運んでいただかなければなりません。
ぜひ、素敵なホリーと(もしくは、ポールと)一緒に図書館を訪れてください。(t)

 

 

 

参考文献
資料名 請求記号 資料コード
『マークをうまく使うには 機械可読目録入門』
黒沢正彦編 三洋出版貿易 1985
 /014/KU   1100001609
『資料組織概説』
岩淵泰郎編著  東京書籍 1998
 /010.8/Sh62/10   1101756607
『資料組織概説』新訂版
柴田正美著 日本図書館協会 2001
 /010.8/J55/9   1107034272
『資料組織概説』改訂
大城善盛[ほか]共著 樹村房 2002
 /010.8/Sh69/9   1107016873
『JAPAN MARCマニュアル 図書編』
国立国会図書館編集 国立国会図書館 1992
 /014.37/Ko49   1100335213