2年にわたり、目録についてのちょっとした情報をお伝えしてきた「コラム目録の小部屋」は、今回で最終回となりました。みなさんに目録について知っていただき、資料を探す際に役立てていただければ嬉しく思います。

昨年(平成18年)、ソウルで開催されたIFLA(国際図書館連盟)の大会に参加してきました。毎年世界の図書館関係者が集まって、幅広い議題について報告や話し合いなどをしている大会です。
目録に関する報告で目立ったのは、「危機感」です。「インターネットを通じて、なんらかの情報がてっとり早く探し出せるようになり、図書館ばなれ、目録ばなれが進んでいる。」というような危惧が語られました。最大のライバルとして、インターネット情報を探すサーチエンジンのGoogleやインターネットで本を販売しているAmazon.comが取り上げられていました。
図書館の目録は、長い歴史の中でつちかわれた一定のルールと法則によって作られているので、「図書館の目録を使って資料を探してもらえれば、GoogleやAmazon.comよりも的確な情報をもれなく探してもらえるのに。」と私たちは思っています。ただ、実際には、GoogleやAmazon.comの利便性が利用者に支持されている現状があります。

ここのところ、GoogleやAmazon.comが利用者に支持されている点を図書館の目録にも取り込んでいく動きがあります。たとえば、Googleを使って検索すると、情報に対してなんらかのランキング処理がされ、利用者が求めているものに近い順に結果が表示されます。図書館の目録を検索した場合にも、利用者が「これは」と思う資料が上位に表示されるような仕組みができないか検討されています。また、Amazon.comには資料に対する読者の評価が書かれていますが、そういった機能を目録に付加できないか研究されています。

一方、Googleなどと共同していく動きもあります。最近日本でも試験公開されたGoogleブックがこれにあたります。Googleブックで本を探した後、地域の図書館の所蔵状況がわかるしくみを用意しています。

少し話は変わりますが、目録自体が変わっていくような流れがあります。FRBR(ファーバー)という目録モデルがIFLAの研究グループによって提示されています。夏目漱石の「坊ちゃん」を例にとって、ごく簡単にご説明しましょう。夏目漱石の「坊ちゃん」という作品に対して、単行本、文庫本、全集、映画、マンガという異なる表現形式があったとします。これまでは、表現形式ごとにそれぞれ独立した目録を作成していましたが、FRBRモデルで考えると、基本の単位は、「坊ちゃん」という作品となり、そこからいろいろな表現形式がたどれるように関係づけられることになります。
 また、「バーチャル国際典拠」という、ちょっとゲーム感覚がすることばも耳にします。目録で著者を記載する場合、その著者を代表する名称を定めて記述します。この名称を管理しているのが典拠目録です。従来、図書館ごとに行われていたこの典拠目録を標準化することで、世界中の典拠目録をあたかもひとつの巨大な典拠目録のようにみなし、典拠作業を世界共通で行うことができ、新しい可能性も広がります。

一見、新しいものにおされて肩身が狭くなったように見える目録が、新しい技術や機能を取り入れて、生まれ変わろうとしています。利用者と資料を結びつける重要な役割を果たしている目録は、これからもますます進化を続けることでしょう。(よ)