こんな本、あります No.68 『ふしぎな図書館』
「トルコ文化年2019」を記念した「トルコ至宝展チューリップの宮殿トプカプの美」が京都国立近代美術館で開催中です。
「チューリップ」は、オスマン語では文字配列を変えると「アッラー」となり、また逆から読むとオスマン帝国を象徴する「新月(三日月)」になる言葉です。この「新月」と佐々木マキによる挿画・装丁が印象的な村上春樹著『ふしぎな図書館』をご紹介します。
ある日、「オスマントルコ帝国」の収税制度がふと気になって図書館へ本を探しに行った主人公の「ぼく」は、地下閲覧室で謎の老人に監禁されてしまいます。毎夜牢獄で『オスマントルコ帝国の税金あつめ人の日記』を読んでいると、いつの間にか「ぼく」は税金あつめ人イブン=アルムド・ハシュールになっているのです。新月の夜、何かをたくらむ老人から「ぼく」は逃げようとしますが……。
図書館を舞台に、時空を超えて遠く離れた「オスマントルコ帝国」と「ぼく」の心の深い領域とが共鳴するふしぎな作品です。
<令和元年6月30日掲載>
図書:『ふしぎな図書館』
村上春樹/著 講談社 2005.1
(請求記号:S/913.6/Mu43 資料コード:1108269927)
<関連資料>
★村上春樹のトルコ紀行
村上春樹/文 他 新潮社1990.8
(請求記号:S/913.6/Mu43 資料コード:1108269927)
★ミニコーナー「オスマン帝国」
『ふしぎな図書館』で主人公が興味をもった「オスマントルコ帝国」について、ミニコーナー「オスマン帝国」の資料で理解を深めてみませんか。
<展覧会情報>
京都国立近代美術館「トルコ至宝展チューリップの宮殿トプカプの美」(会期6月14日(金)~7月28日(日))