こんな本、あります No.34『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』

 著者の通崎睦美さんは、京都市出身のマリンバ奏者で、京都府あけぼの賞を受賞されるとともに、東日本大震災で被災を受けた高校生を京都に招待した「福島県高校生  京・絆プロジェクト」でもマリンバのすばらしい演奏をしていただきました。日本の木琴奏者の第一人者であった平岡養一氏(1907-1981)の愛器を、縁あって遺族から譲り受け、現在その木琴による演奏活動でも活躍されています。
 
そして、平岡養一生誕百年を機に、忘れ去られつつある彼の名と木琴という楽器を「次世代に伝えたい」思いで、本書を執筆されました。
 
平岡氏は戦前、当時の「木琴王国」であったアメリカに渡り、10年もの間、毎朝ラジオの生番組で演奏して人気を博し、リサイタルでは世界一の木琴奏者の評価も得ました。日米開戦により帰国後、国民的音楽家となってゆく様子が時代背景とともに詳しく綴られています。
 また、戦後、日本にマリンバが伝わり普及するにつれ、それまで広く親しまれていた木琴が徐々に消え去ろうとしている時代の変化についても述べられています。
 読み進めるうちに、どこか懐かしい、木琴の軽やかな音色が聴こえてくるようです。
 芸術の秋、遠くなったその音色に思いを馳せられてはいかがでしょうか。

     mokkin

       図書: 木琴デイズ   平岡養一「天衣無縫の音楽人生』 

                   通崎 睦美/著 講談社  2013.9  

           (請求記号:762.1/H67/ 資料コード:1110330840)

                                                               

    第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞
    第24回吉田秀和賞受賞
 第6回朝日21関西スクエア賞受賞  
  

   

★関連図書

通崎睦美さんは、京都の伝統に造詣が深く、特にアンティーク着物の着こなしは、以前から注目されています。
当館では他に下記の著作を所蔵しており、自身の着物コレクションの写真や、京都に関するエッセイなどがまとめられています。

 ・『ソデカガミ 銘仙着物コレクション 』 通崎 睦美/著 PHP研究所 2004.1

                 (請求記号:593.8/Ts98/ 資料コード:1108162874)

 ・『通崎好み』 通崎 睦美/著 淡交社 2004.9

                 (請求記号:K/914.6/Ts98/ 資料コード:1108070010)

 ・『天使突抜一丁目  着物と自転車と』 通崎 睦美/著 淡交社 2002.12

                                          ( 請求記号:K/914.6/Ts98/ 資料コード:1107046037)

 ・『天使突抜367』 通崎 睦美/著 淡交社 2011.3

                                              (請求記号:K/527/Ts98/ 資料コード:1108687656)

 

★関連イベント

  木琴×マンドリン・アンサンブル! 通崎睦美コンサート

  「今、甦る!木琴デイズ」vol.6 ~郷愁のトレモロ~  http://www.otonowa.co.jp/schedule/tsuuzaki

        2016年11月16日(水)会場:京都文化博物館 別館ホール