こんな本、入りました No.032『鯰絵で民俗学』

 地震国、日本。地震に関する言い伝えが各地にありますが、なかでも多くの方が強く想起するのは「ナマズ」との結びつきではないでしょうか。

 この本は、安政2年(1855)の安政江戸大地震災害時に多く出回った錦絵「鯰絵」をテーマに民俗学の視点から地震とナマズの関係性に迫った研究書ですが、ナマズにまつわる民話や伝承、俗信を集め、遺跡・文献による生息を確認し、鯰年表なるものまで作られています。

 鯰絵の研究成果を知るだけでなく、「地域にこんな伝承があったのか」、「こんな風に食していたのか」などと、改めてナマズとの長いつきあいを振り返ってみるのはいかがでしょうか。

 絵馬や石造物などについても言及があり、京都の今宮神社にある鯰の台石も紹介されています。この本を手掛かりに出かけ、今に続く伝承を目の当たりにしてみるのも面白いかもしれません。  

       鯰絵で民俗学

        『鯰絵で民俗学 その文化と信仰と』 細田 博子/著 里文出版 2016.6 

        (請求記号:387/H93 資料コード:1110474002 )

 

★他にもこんな資料があります。

鯰絵 民俗的想像力の世界』 C.アウエハント/著 岩波書店 2013 (資料コード:1108971233)

イメージとその素顔』 川那部 浩哉/監修 八坂書房   2008 (資料コード:1108538925)

鯰絵 震災と日本文化』 宮田登 高田衛/監修 里文出版 1995 (資料コード:1105194771)