No.2 目録のおはなし 

「目録」とはなんでしょう。

知っているけど、なに?と聞かれるとうまく説明できないもののひとつではないでしょうか。

こんなときは、まず『広辞苑』を開いてみますよね。『広辞苑』の記述を見てみましょう。

1)書物の中の内容の見出しを順序立ててならべたもの。目次。・・・これも、「目録」って言うんですね。恥ずかしながら知りませんでした。
2)所蔵・出品されているものの品目を整理してならべたもの。「蔵書-」「在庫-」「財産-」・・・これぞ我らが目録。しかも「整理して」というところが、心にしみます。
3)進物の品々の名を記したもの。・・・いいなあ。
4)転じて、実物の代りに仮にその品物の名だけを記して贈るもの。・・・『宇津保物語』に早くも「目録」という言葉が使われているそうです。
5)進物として贈る金の包み。・・・へぇ。
6)武術・芸道を門人に伝授し終った時、その武術・芸道の名目と伝授し終った由とを記して授与する文書。・・・ふむふむ。
 いろいろな意味があるんですね。

というわけで、図書館で購入したり、寄贈を受けたりした本を「整理して」「目録」にしているのですが、閲覧室を探してもらっても『京都府立図書館蔵書目録』というのは見つかりません。このコラムをご覧の方は、すでにお気づきかもしれませんが、現在ほとんどの図書は、コンピュータ上に目録されています。当館の目録も、ホームページ上の「府立図書館・総合資料館の蔵書検索」をクリックすると探すことができるようになっており、「目録」という言葉はどこにもでてきません。「目録」は、縁の下の力持ち、見えない存在となっています。

見えない存在である「目録」ですが、見えないからと言って、適当にすますわけにはいきません。みなさんが探したい本とうまく出会えるように一定のルールにのっとって「目録」しています。このルールというのも、京都府立図書館で勝手に決めているわけではなく、日本のルール、というものがあります。また、日本のルールは世界のルールにつながっていますので、このルールを知っていると、京都府立図書館利用の達人になれるだけでなく、広く図書館利用の達人にもなれることでしょう。

目録のルールについては、ほかのコラムでおいおいお話しいたします。今日のところは、私たち「目録」担当者が毎日欠かすことができない、ルールブックをごく簡単にご紹介しましょう。

1)『日本目録規則』(略称:NCR)
  書名や著者名等の記載の仕方を決めたルールブックです。
2)『日本十進分類法』(略称:NDC)
  同じ内容の図書に数字を与えて、体系化します。
3)『基本件名標目表』(略称:BSH)
  図書の内容を表す言葉を決めています。

以上の3冊です。私たちは、日常、書名よりも略称を使います。略称と言っても、書名と頭文字が違うのでは、と思われた方、そのとおりです。3冊とも書名を英語に直したものの略称になっています。この方が世界のルールブックの略称と対比しやすいからでしょうか。英語に直した、というより、英語交じりと言った方がいいものもありますが、英語に直した書名は、次のとおりとなります。

1)”Nippon Cataloging Rules”
2)”Nippon Decimal Classification”
3)”Basic Subject Headings”

なになに?知らない言葉ばっかり、なんかおもしろくなさそう、と、思ったあなたも、図書館に興味のあるあなたも、「目録の小部屋」をときどきのぞいてみてください。あなたのお心にかなうお話しが増えているかもしれません。コラムの最終回には、「目録伝授目録」をお渡しできるといいんですけど。また、お会いしましょうね。(よ)