No.10 分類について -様々な分類のおはなし-
第1回(2006.1)のコラムでは、当館が「日本十進分類法」(Nippon Decimal Classification=NDC)を採用し、図書を一定の法則に基づいて分類整理し、並べている、というお話しをしました。
ではNDCのほかには、どんな分類法があるのでしょうか。
今日は、「様々な分類法」のお話をいたします。
まず、「デューイ十進分類法」(Dewey Decimal Classification=DDC)をご紹介します。これは、アメリカの図書館人メルヴィル・デューイ(Dewey,Melvil 1851-1931)が考案した分類法です。イギリス人哲学者フランシス・ベーコン(Bacon,Francis 1561-1626)の知識分類体系を発展させ、0から9までの数字を組み合わせた分類法です。DDCは、アメリカ、イギリスの公共図書館の98%で使用され、また英国全国書誌(BNB)もDDCを使用し、分類されています。それにより日本十進分類法や次にお話する国際十進分類法に大きく影響を与えることになりました。
次に、「国際十進分類法」(Universal Decimal Classification=UDC)についてお話します。これは、先にお話したDDCを国際的視野にたって拡張、編成し直したもので、「ブリュセル拡張デューイ」とも言われています。UDCは、主題の基本的な構成要素を分析し、それらの要素に対する記号で分類番号を合成し、適切な結合記号を用いて連結することで主題を表します。日本でUDCは、『科学技術文献速報』などの科学技術関係の論文・抄録などに使用されています。
日本の多くの公共図書館でNDCが採用されているのは、DDCにおけるキリスト教の偏重をなくし、「歴史・地理」での日本中心の項目設定など日本の事情も考慮され作成されている点や、また、戦後、学校図書館や国立国会図書館(現在は国立国会図書館分類表による分類)で採用され、広く普及したからです。
では、実際にNDCと他の分類法の分類ではどのように違うのでしょうか。例をあげて説明しましょう。<日本史>について書かれた資料を探す場合、NDCで分類整理されているならば「21~」で始まる資料がおかれている書棚をみると日本史についてのさまざまな資料を探すことができます。しかし、DDCやUDCで分類整理された図書館では、「21~」から始まる資料が並んでいる書棚を見渡しても日本史の資料は見つかりません。宗教や神学に関する資料が並んでいるばかりです。DDCやUDCを採用し、分類整理された図書館では、「952」で分類されている資料が並んだ書棚へ行くと日本史についての資料が並んでいます。一方、NDCで分類整理されている図書館で「952」で分類された資料がおかれている書棚をみるとフランス文学<戯曲>の資料が並んでいます。
このように採用する分類法によって資料の分類整理がおおきく変わっていきます。ここでお話しました分類法は、代表的なものの一部です。世界のさまざまな国や地域の図書館では、これらの分類法を使用して一定の法則に基づいて分類整理し、並べています。
以下がNDC・DDC・UDCのおおまかな区分です。
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みなさんも異国の地をおとずれた際には、図書館に立ち寄り、どのような分類法により図書が分類整理し、並べられているのかを見ていただくと普段の図書館で見慣れた分類との違いを感じられるかと思います。(し)
資料名・サイト名 | 請求記号 | 資料コード |
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『資料組織概説-新訂版』 柴田正美著 日本図書館協会 2001 |
/010.8/J55/9 | 1107034272 |
『図書分類の実務とその基礎-改訂版』 千賀正之著 日本図書館協会 1997 |
/014.4/Se62/ | 1101757480 |
『図書分類の記号変換-DDC,LCC,NDC』 丸山昭二郎・丸山泰通編 丸善 1984 |
/014/MA/ | 1100001625 |
『国際十進分類法 日本語中間版第3版分類表』 情報科学技術協会 1994 |
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UDC CONSORTIUM |
http://www.udcc.org/index.htm (アクセス2006/10/03) |