No.16 伝記の分類について

この春に入学・進級・就職を迎えられた方、おめでとうございます。
環境がかわると、気分も新たに人生の目標をたてたくなりますね。他の人はどんな人生を歩んでいるのだろうと、伝記を参考に自分探しをしたいと思うことはありませんか?そんな時、ぜひ図書館をご利用ください。

特定人物の伝記を探す場合は、コラム№7「ダ・ヴィンチの謎を解け!」でお話ししたように、OPAC(検索用端末)の資料検索画面で「個人件名」にその人物の名前を入れて検索すればいいのですが、どんな伝記があるか調べたい場合は、どのように探せばよいのでしょうか?今回は、そのお話しをします。

個人伝記の分類は、『日本十進分類法(NDC)』によると日本人が「289.1」、東洋人が「289.2」、西洋人が「289.3」になっています。「それだけ?簡単だね」と思っても、もう少しお話しを聞いてください。289.1~289.3に分類しない伝記もありますので、その説明をします。
ゆっくりと日本人伝記「289.1」の本棚を眺めてみてください。織田信長・・・山本勘助・・・あっ、勘助といったら今の大河ドラマの主人公ですね。見たところ歴史上の人物が圧倒的に多いですが、よく見ると政治家、教師の伝記もあります。でも、哲学者や宗教家、芸術家・スポーツマン・落語家や俳優など芸に関わる人、詩人や作家などの名前は見当たりません。それは何故でしょうか?
彼らの人生を語るには、その思想、作品、技能などと切り離しては語れないものがあるため、それぞれの分野でまとまるように分類しているからです。
哲学者・宗教家は「100~199」、芸術家・スポーツマン・諸芸に関わる人は「700~799」、詩人・ 作家は「900~999」の分類になります。コラム№1「分類について」で紹介された分類区分表を参考にしてください。

これで伝記分類のおおまかなイメージはもっていただけたと思います。試みに誰かの伝記を探してみましょうか?
例えば私が、突然漫画家をめざしたいと思ったとします。漫画家はどんな人生を送っているのだろうと興味を持った場合、漫画は芸術の分類に入るので、漫画家の伝記は「289.1」ではなく、「726.101」(漫画の分類)にあると推定することができます。本棚を見に行くと、『加藤芳郎のまっぴら人生』『ぬけられますかー私漫画家滝田ゆう』・・・などの本が並んでいます。ここで初めて滝田ゆうという漫画家の存在を知り、さらに彼のことをもっと詳しく知りたいと思った場合は、当館のweb-OPACで「滝田ゆう」をキーワードにして検索してみます。当館では、エッセイも含めて、滝田ゆうに関する図書は20数冊あることがわかりました。
このようにして、関心の世界を広げていくことができます。

当館では『伝記・評伝全情報』をはじめ、伝記探しの参考になる図書を所蔵していますので、それらを見て探していただくこともできます。ですが、書棚をわたり歩きながら探すのも、なかなか楽しいものです。自分探しのためにもぜひ一度、トライしてみてください。
思わぬすばらしい出会いがありますように。(ち) 

参考文献
資料名 請求記号 資料コード
『日本十進分類法 新訂9版 本表編』
もりきよし 日本図書館協会 1995 
/014.45/Mo45/1  1100410768
『日本十進分類法 新訂9版 一般補助表・相関索引編』
もりきよし 日本図書館協会 1995
/014.45/Mo45/2  1100001666
『伝記・評伝全情報45-89日本・東洋・西洋編』
日外アソシエーツ 1991
/280.31/N71/  1100357894
       ほか
『伝記・評伝全情報90-94日本・東洋・西洋編』
日外アソシエーツ 1995
/280.31/N71/  1101921805
       ほか
『伝記・評伝全情報95-99日本・東洋・西洋編』
日外アソシエーツ 2000
/280.31/N71/  1106275074
       ほか
『伝記・評伝全情報2000-2004日本・東洋・西洋編』
日外アソシエーツ 2005
/280.31/N71/  1108086065
       ほか