亡者たちが冥途を旅する様子を描いたこの噺は、「上方落語中興の祖」の一人で、平成29年3月に三回忌をむかえる3代目・桂米朝により掘り起こされ、得意ネタの一つであった演目です。その時々の世相や流行、事件などを盛り込んで演じられるネタでしたが、中でも米朝の地獄八景(ばっけい)は、3代目・笑福亭福松から受け継いだ噺に思いきった改良を加え、現代にも通用する作品として仕上げられたものです。

 このCDは、1990年4月に京都府立文化芸術会館で収録されたものであることから、京都の様子や出来事をもとにした笑いもちりばめられています。また、全編では1時間を超えることに加え、体力も要する大ネタであるため、この頃を境に米朝が高座で演じることはなくなり、人間国宝の話芸の貴重な記録にもなっています。

 本全集には、「百年目」(6巻)、「一文笛」(23巻)、「菊江仏壇」(33巻)などの得意ネタを初め80の幅広い演目が収められています。落語研究者でもあった桂米朝の、知的で端正な落語の世界をぜひお楽しみください。

 

『特選!!米朝落語全集 第15巻 「地獄八景亡者戯」』
口演 桂米朝 出版 東芝EMI
(請求記号 CD779// 資料番号 1500030513ほか)