文学研究と聞いてどのようなイメージを思い浮かべますか。ひょっとすると自由に研究できるものと思われるかもしれません。
 しかしこの本の著者は、現実には文学研究は<枠>の中にとらわれ不自由であるとしています。この文学や文学研究における<枠>を把握し、文学研究とほかの分野との関係を持つことの重要性を指摘しているのが本書です。
 テーマは3つに分かれており、「空間」・「文学史」・「メディア」から成り立ちます。特に「空間」は京都の作品が中心で第2章では、京都府立図書館のある岡崎が舞台の作品となっている菊池寛の「身投げ救助業」(『菊池寛全集 第2巻』所収)が取り上げられています。この章では、作品に描かれた京都、特に岡崎や琵琶湖疏水という「空間」を視点に入れると異なる小説の読みができるとされています。ちなみに菊池寛の「あの頃を語る」(『菊池寛全集 補巻』所収)によると、菊池寛は府立図書館へよく通っていたそうです。
 本書から、文学の様々な広がりを体感してみてはいかがでしょうか。                          <平成29年2月10日掲載>

         literature

       『文学の歴史をどう書き直すのか 日比 嘉高/著 笠間書院 2016.11

                     (請求記号:910.26/H54   資料コード:1110499868)

 

★こんな本もあります

京都府立京都図書館沿革誌』京都府立図書館/編 京都府立京都図書館 2012 (資料コード:1107959676)

菊池寛全集 第2巻』菊池 寛/著 高松市菊池寛記念館 1993 (資料コード:1102849880)

菊池寛全集 補巻』菊池 寛/著 武蔵野書房 1999 (資料コード:1107034983

<自己表象>の文学史 自分を描く小説の登場』日比 嘉高/著 翰林書房 2008 (資料コード:1108498369)

ジャパニーズ・アメリカ 移民文学・出版文化・収容所』日々 嘉高/著 新曜社 2014 (資料コード:1110358874)